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用語集 AI・多様性

リスキリングとは

りすきりんぐ / Reskilling

OJT では実現できない「非連続」の能力開発。事業戦略から逆算して初めて成り立つ

公開日2026/09/20

リスキリング とは

事業の変化に対応するために、働く人が新しい仕事や職務に必要なスキルを、仕事を続けながら身につけること。

リスキリング(reskilling)は、「学び直し」と訳され、DX や事業転換の文脈で広く使われるようになりました。しかし「研修を増やすこと」や「資格を取ること」と混同されると、投資が空回りします。この項目では、定義と背景、似た概念との違い、OJT では実現できない理由、事業戦略との連動、進めるポイントを整理します。

意味と背景

リスキリングとは、事業の変化に対応するために、働く人が新しい仕事や職務に必要なスキルを、仕事を続けながら身につけることです。個人にとっては自らのキャリアのために学ぶことですが、企業にとっては、自社の事業を新たな成長分野にシフトさせるなど、戦略的なニーズを満たすための施策の一環です。

背景には、スキルの変化の速さがあります。世界経済フォーラムは、今後5年間で労働者のスキルの44%が変化すると見込んでいます(WEF「Future of Jobs Report 2023」)。日本では経済産業省の「人材版伊藤レポート2.0」(2022)が、人材戦略の共通要素の一つとして「リスキル・学び直し」を挙げています。

リスキリング・リカレント教育・研修の違い

概念 目的 主体 仕事との関係
リスキリング 新しい仕事・職務への移行に必要なスキルを得る 企業の戦略と個人のキャリアの両方 仕事を続けながら学ぶ
リカレント教育 生涯にわたり、必要に応じて教育機関で学び直す 個人 一時的に仕事を離れることも含む
階層別研修 役割に応じたソフトスキル(リーダーシップ、思考力)を学ぶ 企業 今の仕事の質を高める
アップスキリング 今の仕事のスキルを高度化する 企業・個人 今の仕事の延長

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OJT では実現できない理由

企業の人材育成でよく行われるOJTは、社内で「今すでにある」仕事をしながらスキルを獲得していく方法です。過去の成功体験に基づく経験の継承であり、教える人のノウハウの範囲を超えません。一方リスキリングは、変化に対応するための非連続的な能力開発であり、既存の業務の延長線上では実現できません。人材育成を OJT だけで完結させてきた組織が、事業の転換期に人材の面で立ち往生する理由がここにあります。

また、リスキリングはソフトスキルの習得とも異なります。階層別研修で扱うリーダーシップや思考力はいつの時代にも重要ですが、リスキリングはデジタル技術など特定の分野で求められるスキルを身につけることを目的とします。DX 研修のような目的別の研修がリスキリングにあたります(Off-JT)。

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事業戦略との連動

リスキリングは、「何のために、何を学ぶか」が事業戦略から定義されて初めて成り立ちます。手順は、企業の目指す姿から将来必要なスキルを定義・特定し(バックキャスト)、現在のスキルを可視化し、そのギャップをリスキリングで埋める、というものです。この起点なしに「DX 研修」を一律に行っても、学んだスキルの使い道がなく、業務は変わりません。

企業にとってのメリットは3つあります。従業員が自ら必要なスキルを獲得しようとする意識が生まれ、企業が学びの機会を提供することでエンゲージメントが高まること。既存の社内人材をリスキリングすることで、新たに採用しなくても人材が充足し、社内人材が活性化すること。そして、従業員がこれまでと異なる仕事に移行できるようになることです。人材の構成を戦略から設計する考え方は人材ポートフォリオの項目で扱います。

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進めるポイント

リスキリングを円滑に進めるポイントは4つです。自社の課題にフィットしたプログラムを選ぶこと。取り組みやすい環境(時間の確保、学習の場)をつくること。従業員の自主性を尊重し、一律の強制ではなく本人が選ぶ余地を残すこと(キャリア自律)。そして、スキル獲得後のイメージ——学んだ先にどんな仕事・役割があるか——を明確にすることです。4つ目が欠けると、学びは「やらされ感」の研修に戻ります。

オンボーディングとの関係では、新人の最初の90日で「経験から学ぶ力」を作っておくことが、その後のリスキリングの土台になります。詳細はオンボーディングからリスキリングへで解説しています。

Q

リスキリングと研修は何が違いますか?

A

研修は今の仕事の質を高めるためのもので、リスキリングは新しい仕事への移行のためのものです。DX 研修のように、事業戦略から定義された「将来必要なスキル」を目的別に学ぶ研修がリスキリングにあたります。一律の階層別研修はリスキリングではありません。

Q

リスキリングは誰が主導すべきですか?

A

起点は経営です。「将来どの事業に、どんなスキルが必要か」は事業戦略からしか定義できません。そのうえで、人事がプログラムと環境を用意し、本人が選ぶ余地を残します。人事だけで始めると、使い道のない研修になります。

Q

中小企業でもリスキリングは必要ですか?

A

必要です。規模が小さいほど、新たな採用で人材を充足するより、既存の社員が新しい仕事に移行するほうが現実的です。大がかりなプログラムは不要で、「3年後に必要なスキル」を経営者が言葉にし、社外の講座を本人が選んで受ける形でも成り立ちます。

執筆者

WellColab

AI自律型オンボーディングプラットフォーム onbx を開発・提供する株式会社WellColab。

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