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用語集 心理・エンゲージメント

自己効力感とは

じここうりょくかん / Self-Efficacy

新人の適応を測る3指標の一つ。「できる気がする」は、どこから生まれるか

公開日2026/09/20

自己効力感 とは

ある課題を自分はやり遂げられるという、自分の能力に対する信念や手応え。

自己効力感(self-efficacy)は、心理学者アルバート・バンデューラが提唱した概念で、「自分にはできる」という感覚を指します。新人の組織適応を測る指標の一つとして使われ、最初の90日で高められるかどうかが、その後の主体性と定着に関わります。この項目では、定義と背景、4つの源泉、適応指標としての位置づけ、実務での高め方を整理します。

意味と背景

自己効力感とは、ある課題を自分はやり遂げられるという、自分の能力に対する信念や手応えです(Bandura, 1977)。自尊心(自分には価値がある)や楽観性(何とかなる)と似ていますが、自己効力感は「この課題を」という具体的な対象を持つ点が異なります。同じ人でも、営業の商談には高く、データ分析には低い、ということが起こります。

性格ではなく状態であることが重要です。課題ごとに変わり、経験によって上下します。だからこそ、組織は新人の自己効力感を、最初の90日で意図的に高めることができます。

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4つの源泉

自己効力感の4つの源泉と、新人育成での対応

源泉 内容 新人育成での対応
達成経験 自分でやり遂げた経験。最も強い源泉 最初の30日で「一人で完結できる」小さな仕事を1つ渡し、完了を確認する
代理経験 自分と似た人が成功するのを見る 入社2〜3年目のバディが「自分も最初はできなかった」と語る。遠すぎる先輩は逆効果
言語的説得 「あなたならできる」と信頼できる人に言われる 上司が根拠を添えて期待を伝える。「前回のこの点が良かったから、次はこれを任せる」
生理的・情動的状態 緊張・疲労・不安の状態が判断に影響する 過度な業務量や孤立を避ける。コンディションをサーベイで把握する

最も強い源泉は達成経験です。「できた」という事実に勝る根拠はありません。ただし、達成経験になるのは「懸命に手を伸ばせば届く」難易度の課題です。確実にできる仕事では手応えが生まれず、手に負えない仕事では失敗経験になります。

代理経験で注意すべきは、モデルとの距離です。優秀すぎる先輩を見た新人は「自分もあのようにならなければ」という焦り(ロールモデル・プレッシャー)を感じ、適応が阻害されることが研究で示されています(尾形真実哉『若年就業者の組織適応』白桃書房, 2019)。「少し先を行く、似た人」の成功のほうが、自己効力感を高めます。

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適応指標としての位置づけ

組織社会化研究のメタ分析(Bauer et al., 2007)は、新人の適応を「役割の明確さ」「自己効力感」「周囲からの受容」の3指標で測り、これらが職務満足・組織コミットメント・定着・パフォーマンスを予測することを示しました。自己効力感はその一つで、30日・60日・90日のサーベイでは「任された仕事を、自分でやり切れる手応えがある」という設問で測ります。

自己効力感は、新人が自ら環境に働きかけるプロアクティブ行動の土台にもなります。「できる気がしない」状態で提案や質問は生まれません。逆に、達成経験が積み重なると、新しいやり方を試す・フィードバックを求める行動が増えます。

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最初の90日で高める

自己効力感を高める設計は、仕事の渡し方に集約されます。第一に、難易度の階段を作ること。30日で「一人で完結できる小さな仕事」、60日で「少し背伸びが要る仕事」、90日で「自分で決める範囲のある仕事」と、段階的に上げます。第二に、結果を返すこと。完了したら「できた」を言葉にし、良かった点を具体的に伝えます。結果に反応がなければ、達成は達成経験になりません。第三に、失敗を「修正の機会」にすること。失敗した仕事を先輩が巻き取ると、本人は次の機会を失い、失敗経験だけが残ります。同じ種類の仕事を間隔を空けてもう一度任せることで、失敗は達成経験に変わります。

役割の明確さとあわせて、この2つが新人の「自分でできる」感覚を作ります。経験を能力に変える循環は経験学習サイクルで解説しています。

Q

自己効力感と自信は同じですか?

A

自己効力感は自信の一種ですが、「この課題を」という具体的な対象を持ち、課題ごとに変わる点が異なります。性格ではなく状態なので、経験によって上げることができます。

Q

褒めれば自己効力感は上がりますか?

A

根拠のない称賛は効きません。言語的説得が効くのは、信頼できる人が根拠を添えて言うときです。「前回のこの点が良かったから、次はこれを任せる」のように、事実に基づく期待のほうが、抽象的な「頑張っているね」より効果があります。

Q

自己効力感が低い新人には、簡単な仕事を渡すべきですか?

A

「確実にできる」仕事だけでは手応えが生まれません。「懸命に手を伸ばせば届く」難易度に調整し、大きな仕事は分割してできる部分から任せます。完了したら必ず「できた」を言葉にして返してください。

執筆者

WellColab

AI自律型オンボーディングプラットフォーム onbx を開発・提供する株式会社WellColab。

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